炭って色々あるけど何が違うの?炭の種類についてまとめてみた
今回のテーマは「炭」です。日本人にとって馴染みの深い燃料ですが、その種類は多く、どれを選べば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は炭の種類について解説していきたいと思います。
━━━ Contents ━━━
黒炭と白炭
木炭の種類は、大きくわけると黒炭(くろずみ、こくたん)と白炭(しろずみ、はくたん)の2種類があります。これらは原料に使われる原木の種類ではなく、製法と性質の違いで分けられています。
黒炭と白炭の大まかな特徴と傾向
【黒炭】
- 見た目は黒く、手で握ると潰れてしまうほど軟質。
- 火着きが良いので、炭の扱いに不慣れな人でも扱いやすい。
- 火力は強いが、火加減の調整がシビア。燃焼時間は短め。
- 煙の量は多く燻製のような香りがする
【白炭】
- 製法上の理由から見た目は灰色で、硬質。
- 生産に手間が掛かるため天然木の白炭は希少価値が高く、高級炭として流通している。
- 火着きが悪いので、薪や黒炭で種火にした上で着火させる必要がある。
- 火力は弱いが遠赤外線効果でじっくりと火を通すことができ、ほぼ無臭で料理に向いている。
- 黒炭よりも燃焼時間が長く、消し炭の再利用が可能。
黒炭と白炭の製法の違いについて
木炭を作る炭窯は、密封状態を作り出すことができる構造になっています。この酸素不足の状態で原木を蒸し焼きにすると、燃焼時に酸素と炭素の結合が塞がれ、原木中の炭素だけが残ります。
これがいわゆる木炭の基本的な製法ですが、実は白炭と黒炭では最終工程が違っています。具体的には、
- 黒炭は自然鎮火で徐々に温度を下げて火を消しますが、白炭は消し灰を掛けて温度を下げることで一気に消火します。
- 白炭は消化前に窯内に空気を送り、燃焼温度を1,000度付近まであげ、樹脂などの不純物を焼き切り、純度を高めます。
こうして黒炭以上に手間暇をかけて、純度と強度が高く、焼物に適した白炭が作られています。
黒炭の種類と特徴
マングローブ炭
アウトドアシーズンの幕開けと同時にホームセンターで大量販売されているのが、このマングローブ炭です。マングローブ以外にユーカリが使用されているものもあります。
kg単価は100円~150円程度。とにかく値段の安い木炭ですが、品質的にあまり良いものとは言えません。
形状は不揃いで、火力調整はシビア。燃焼速度は短く、煙からは酸っぱさを感じるようなツンとした臭いがするので、食材の風味が損なわれてしまいます。
切炭、菊炭
切炭は、スギやクヌギ、ナラといった天然木を原料に作られます。国産品では、岩手切炭、北海道木炭、土佐木炭などが有名です。(※マングローブ炭も同じ黒炭ですが、品質の違いから分けて取り上げています。)
kg単価は300円から800円程度。国産黒炭は天然木を使用しているため少し値は張りますが、品質的には、とても優れています。
火起こしは簡単ですし、形状が揃っているので火力が安定しています。また使い勝手に優れるだけでなく、適度に炭火の香ばしい香りづけができるので、料理に向いた木炭です。
成型炭(豆炭)
コロコロした形状の豆炭は、人工的に作られる成型炭のひとつです。石炭由来のものと木炭由来のものがあり、調理用途では木炭由来のものが一般的。
形状が均一であることから火力が安定しており、特にバーベキュー文化の盛んな欧米では定番燃料として広く使われています。
白炭の種類と特徴
白炭
高級炭として名高い備長炭も白炭の一種です。原料には密度の高い硬い天然木を使われることが多く、ウバメカシやアラカシを使ったものが代表的です。
kg単価は1,000円から2,000円。天然木を使っているだけでなく、手間暇のかかる製法で作られていることから、とても高価な部類の木炭です。
黒炭より火力は落ちますが、遠赤外線の放出量が多く、焼物をふっくら美味しく仕上げることができます。
また、煙は非常に少なく、ほとんど無臭なので、風味を損ねることがありません。(ただし高価で扱いにくいので、アウトドア向きではないですね。)
成型炭(オガ炭)
成型炭は、製材のときに大量発生するオガクズや、ヤシ殻を加熱成型することで作られています。天然木を使用しないので、自然に優しい木炭です。
原料コストが安いことから、kg単価200円〜600円とリーズナブルな価格帯で販売されています。
チクワのような形状で、製法が白炭に似通っているので、燃焼時間が長く、料理に向いた木炭といえます。
着火剤を使っても火が着きにくいので、アウトドアではチャコールスターターを用意しておくことをオススメします。
※オガ備長炭という名前で販売されていますが、天然木を使用したものとは別物です。